「世の中には普通のイラストと、パタパタパタと理解が進んで目からウロコが落ちまくるイラストがある」というお話。今回は、インスリンのイラストを比較してみましょう。
よくある「普通のイラスト」では、インスリンは運び屋さんのように描かれています。血液中を流れているブドウ糖をピックアップして、倉庫に運ぶ担当者のイメージです。
食事をした後には、消化され吸収されたブドウ糖が、ドサドサと血液中に入ってきます。「血液中のブドウ糖濃度」が血糖値ですから、どうしても食後は血糖値が上がります。
そこでインスリンの出番!
インスリンは、血液中のブドウ糖を拾っては倉庫へ移し、拾っては移しと大忙しで働きます。そのおかげで、血液中のブドウ糖はだんだん数が減り、上がり過ぎた血糖値は下がっていくのです。ちなみに、ブドウ糖を保管する倉庫になるのは、骨格筋です。
ですから、インスリンはとっても大切。
インスリンがいなくなると、血糖値が下がらなくなり、糖尿病につながります。
ここまでは、普通のイラストでも十分理解の助けになります。
でも、最近話題の「インスリン抵抗性」になると、普通のイラストではうまく説明できません。
インスリン抵抗性が高まると、インスリンがうまく働けなくなって、血糖値が下がりません。インスリンは不足しているわけではない、むしろ通常よりたくさんいるのに、血糖値が下がりにくい状態です。
このインスリン抵抗性は、糖尿病やメタボの進行に深くかかわっているとして、非常に注目されています。
もう一歩理解を深めようとする時に、普通のイラストはいつでも役に立たなくなってしまいます。なぜかというと、肝心な核心の部分がリアルに描かれていないからです。
インスリンで言えば、インスリンが働くためには、インスリン受容体が必要です。そして、インスリン抵抗性で問題になるのは、まさにこの受容体なのです。
ですから、インスリンと受容体の関係がキチンと描かれていないと、目からウロコのイラストになりません。
こちらは、以前書いた本で使ったイラストです。
インスリンと受容体はカギとカギ穴のような関係です。カチリとカギがささることで、ブドウ糖が細胞に入る扉が開きます(この細胞は、ブドウ糖の倉庫である骨格筋の細胞)。
インスリンがいなくなると、ブドウ糖が細胞の中に入れなくなり、血糖値が下がりません。
そして、インスリン抵抗性ですが、トラブルを起こしているのは受容体です。
受容体の数が少なくなったり、かたちが微妙にゆがんでカギがうまくはまらなかったりすると扉が開きません。インスリンがたくさんいても血糖値が下がらなくなります。
なぜ、受容体にトラブルが起こるかというと、運動不足とか栄養のアンバランスとか、いろいろな原因があります。
肝心なポイントをリアルに描けているイラストなら、同じモデルを作っていろいろなことがまとめて視覚的に理解できます。
糖尿病の予防や治療になぜ運動が勧められるのか?
なぜ、亜鉛やマグネシウムは血糖値を安定させるのに役立つのか?
いずれも、受容体と関係があります。
次回はそのあたりをお話ししましょう。
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