レモン汁を使った料理を食事のはじめに摂ることで、胃酸の分泌を促し、消化と吸収をサポートすることができます。
このレモン汁作戦で特にお勧めなのが、キャロットラぺ。
超簡単な上に日持ちもします。
まとめて作っておけば、いつでも前菜としてサっと食卓に並べることができますよ。
作り方は、すりおろして、レモン汁で和えるだけ。
元気がよくて味の濃いニンジンなら、それ以外に何も加えなくても、おいしく食べることができます。
作りたてを食べてももちろんいいのですが、だんだん味がなじんでいくので、2、3日後くらいが一番おいしいと思います。
冷蔵庫で1週間近くもちますから、食卓のレギュラーに加えるのも簡単。それだけで、毎日の食事から摂る栄養素の消化と吸収によい影響を期待できます。
キャロットラペをおいしく作る大事なポイントは、チーズグレーター(チーズおろし器)を使うこと。ニンジンの断面をギザギザ、デコボコした感じにおろすことができるので、フワッと柔らかな食感になります。味もよくなじみます。
ところで、「生のニンジンはビタミンCを破壊する。だから、ニンジンは生で食べない方がいい」と聞いたことはないでしょうか?
実は、キャロットラペにレモン汁を使いたい理由は、ビタミンCを守るためでもあるのです。
問題になるのは、ニンジンの中に含まれている「アスコルビナーゼ」という酵素です。
この酵素には、ビタミンCを酸化させる働きがあります。
ビタミンCは、有害な活性酸素を無害化することで細胞を守ってくれているのですが、酸化するとパタッと働けなくなってしまいます。
ただ、アスコルビナーゼはビタミンCを壊しているわけではありません。ほんの少しかたちを変えているだけです。それだけで、仕事バリバリモードから、完全お休みモードになるわけですね。
からだには、酸化されたビタミンCをまたバリバリ働けるかたち(還元型)に戻すメカニズムもありますので、生ニンジンのビタミンCへの悪影響は大きな問題ではないと理解されてきました。
ただし、野菜をすりおろした場合には、含まれていた酵素の働きが一気に高まることがよくあります。生のニンジンもスティックで食べるより、ラペで食べる方がアスコルビナーゼの影響は強く出やすいのです。
ここで、レモン汁の出番です。
アスコルビナーゼは酸にさらされると、かたちが崩れて酵素として働けなくなります。ビタミンCを酸化させて、お休みモードにすることができなくなるのです。
ですから、ニンジンをすりおろして食べる時には、レモン汁で和えてあげると、アスコルビナーゼの心配がなくなります。結果として、ビタミンCの機能低下を最小限に抑えられるわけですね。
【by 平田ホリスティック教育財団理事 丸元康生】
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