と以前書きました。
そこで、素朴な疑問。
チョコレートを食べると、なぜ幸せ気分になるのでしょうか?
その秘密は、チョコレートの原料となる「カカオマス」にあります。カカオマスには、他の食品からはあまり摂れない、特殊な成分がいろいろと含まれているのです。1つ1つご紹介していきましょう。
フェニルエチルアミン
別名、「恋愛化学物質」。恋をして、うっとりした陶酔感を感じるときなどに放出される神経伝達物質です。好きな人のことを考えてドキドキしたり、性的に刺激されたりしたときにも、脳細胞でどんどん作られます。
米国では昔から、「失恋したとき、男はヤケ酒を飲み、女はチョコをやけ食いする」などと言われていました。ときめき物質であるフェニルエチルアミンには、失恋の痛みを一瞬でも忘れさせてくれる癒し効果があるのかもしれません。
アナンダミド
内因性マリファナとも呼ばれている成分です。脳の中で、マリファナの活性成分であるTHC(テトラヒドロカンナビノール)と同じように作用します。
マリファナより効き目はずっと弱いので、幻覚が見えたりはしません。それでも、痛みや心配ごとを忘れさせてくれたり、褒められたときの舞い上がるようなうれしさを感じさせてくれたりします。こうした気持ちの良い高揚感は、「チョコレート・ハイ」と呼ばれることもあります。
テオブロミン
カフェインと似た興奮作用のある成分ですが、その効果はずっと穏やかです。
テオブロミンは、セロトニンの分泌も促してくれます。セロトニンは、神経をリラックスさせて、幸せな気持ちにしてくれる神経伝達物質です。動揺した気持ちを落ちつかせて、不安を和らげてくれます。
女性の脳内で合成されるセロトニンの量は、男性の約半分しかありません。そのせいもあって、女性の方が簡単に気分が落ち込みやすいようです。女性がチョコレートを大好きな理由の一つには、セロトニンを増やしたいという事情もあるのかもしれませんね。
ときめき物質とか、ハイになる成分とか、これだけいろいろと勢ぞろいしている食品はめったにありません。
加えてチョコレートには、「イライラを抑えて、緊張をゆるめる神経伝達物質のGABA(ギャバ)」や「緊張をゆるめてストレスをやわらげてくれるミネラルのマグネシウム」も豊富に含まれています。
一粒、二粒つまみながら、ひと時の幸せを静かに味わうことができるなら、チョコレートはこの上ない気分転換の友にもなるでしょう。
ただし、むさぼるように食べまくると簡単にカロリーのとり過ぎになり、また不幸せに戻ってしまいます。幸せは意外と身近にあるのかもしれないけれど、それをつかむのにはやっぱり意思の力が必要だった、というオチでした。
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