運動をすると、血糖値を下げるサポート効果が2、3日持続します。
糖尿病を発症した人に運動が勧められるのは、この恩恵が得られるためですね。
まだ糖尿病の心配がない人にも、運動は血糖値を安定させる助けになりますよ。
今日は、そのメカニズムについてお話ししましょう。
まず、インスリンの働きの復習です。インスリンとその受容体は、カギとカギ穴のような関係です。カチリとはまると、その刺激が伝わって、細胞内で待機していた「グルット4」が活性化されます。
グルット4は細胞膜へ移動して、ブドウ糖を取り込む扉になります。
糖尿病の人や、そちらの方向へ近づいている人の場合、インスリン受容体がうまく働けなくなっている可能性があります。カギ穴のかたちが微妙にゆがんだようになり、インスリンがはまらなくなるのです。これではブドウ糖にドアを用意できません。結果として、食後の血糖値がシャープに上昇しやすくなります。
運動をすると、細胞の中で、「AMPK」と呼ばれる酵素が活性化されます。AMPKにも「グルット4」を目覚めさせる働きがあります。インスリンとは別のルートでも、ブドウ糖ドアを用意できるということです。ここまでは前回お話ししました。
AMPKのお仕事は、そこで終わりません。
なんと!うまく働かなくなっていた「カギ穴」を修理してくれるのです。これで、インスリンがやって来た時には、カチッとはまって作動するようになります。この効果は、運動を終えてから2、3日続きます。
運動をしてから10時間くらいたつと、今度は骨格筋の中でグルット4の数が増え始めます。この増量効果は、運動を繰り返すことによって蓄積されていきます。
ブドウ糖用のドアを増やすことができれば、食後にブドウ糖がどっさり血液中に入ってきても、まとめて骨格筋にとり込めます。血糖値が高まっても、すぐに下げることができるわけですね。
ご紹介した一連の運動効果は、運動によって活動した骨格筋でしか起こりません。ですから、大きな筋肉(太ももとか)やたくさんの筋肉を動かす運動の方が効果的です。
2、3日すると効果が失われてしまうので、週2回くらいの運動を習慣づけるといいですね。
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